歯を日常的にメンテナンスしていますか?
突然ですが皆さん、普段自分の”歯”についてどれくらい意識していますか。毎日歯磨きをしっかりしている方が大半かと思います。しかし定期的に歯医者さんで健診を受けている方は多くないのではないでしょうか。
筆者である私はゴールデンウィーク中、久しぶりに歯医者を受診しました。幸い虫歯はゼロということで歯のクリーニングだけやってもらったのですが、歯磨きの仕方について何点かアドバイスを頂きました。
なんでも歯磨きは歯ブラシで歯を磨くだけでは不十分で、歯と歯の間を磨かなければ汚れが落ち切らないというのです。放置すると隠れ虫歯や歯周病の原因になり、気がついた頃には手遅れになるケースもあるということでした。
恐らくそういう患者さんを何人も相手にしてきたのでしょう。割と怖い顔で詰め寄られた帰り道。ツルツルになった歯を舌で触りながら、近所のドラッグストアでフロスを買い求める私は、子供の頃に感じていた疑問を久方ぶりに思い出していました。
なぜ1回しか歯が生え変わらないのか
人間って、どうして1回しか歯が生え替わらないんだろう……。
カバやネズミは一生歯が伸び続けるし、サメなんかは何度でも歯が生え替わる。自然界では虫歯になる動物はほとんどいないと言いますが、それでもなんて羨ましい。人間なんて、虫歯や怪我で歯が抜けちゃったらそれっきりなのに!
そういえば「親知らずも抜いた方がいいですよ」なんて言ってたな。人間の永久歯は抜いたらそれまでなのに、もったいない話だ。あーあ、画期的な新技術で歯が再生する薬なんて出てこないかなー。そんな風に思いながらニュースサイトをチラチラ覗いていると……。
『世界初の歯生え薬が登場! 2030年の実用化を目指す』
……なんだって!?
目を疑ってもう1度読んでみる。夢じゃない、本当だ。本当に歯が生えるって書いてある!
なになに……。
世界初の「歯生え薬」とは
現在世界初の「歯生え薬」の開発が進んでいる。生まれつき歯が欠損している「先天性無歯症」のマウスに薬を投与したところ、見事に歯が生えてきた。人間に近い歯の構造をしているフェレットでも既に実験が成功している。2025年には人間の治験が実施される予定で、2030年には実用化される見通し。要約すると、こんな内容が書かれていたのです。
なんでも永久歯が生え揃った後でも、歯茎には歯の芽が残っていて、歯を生やそうとしている。それを「USAG―1」というタンパク質の一種が邪魔をしているので、薬の投与でその機能を失わせることで、新しい歯が生えてくるという仕組みなのだと言います。
投薬の方法は静脈点滴で、回数は1回のみ。たったそれだけの処置で歯が生えてくるというのです。アンビリバボー……! 医療の発達が目まぐるしいとはよく聞きますが、いつの間にかそんな領域にまで達していたとは驚きです。
現時点での想定費用は歯1本に対して150万円程度で、対象も先天性無歯症の患者と、普及には課題が残る部分も多少あるそうですが、将来的には虫歯で歯を失った方の治療も視野に入れているということです。
歯を失うと認知症の原因になることも
歯医者さんで「これは銀歯だね」と言われるのと同じノリで、「抜いて新しく生やそうね」と言われる未来が来るのもそう遠くないのかもしれません。
自分の歯を失うということは、大きな出来事です。歯が健康でないばかりに、好物が食べられなくなってしまう人や、上手く発音できなくなってしまって人と話をするのが億劫になってしまう人。高齢な人なら、それが認知症発症の入り口になってしまう人も多くいるといわれています。
今回ご紹介した「歯生え薬」は、そんな方々にとって救いの手になるかもしれません。
それは単なる「歯の再生」に留まらない大きな意味を持つと、私は考えています。
「歯生え薬」の作る未来
歯生え薬の実用化が予定されているのは2030年。2040年頃にもなれば、ごく当たり前の治療になっていることでしょう。2024年現在から考えると16年後です。現役世代のボリュームゾーンである20~50代の方が30後半~60後半になっている頃でしょうか。人生100年時代と言われる現代であれば、まだまだ人生を謳歌できる年頃です。
老いや病から解放される未来
前回ご紹介した認知症の治療薬の登場や、日々進歩を続けているiPS細胞による再生医療。これらを考慮すれば、人間が老いや病から開放される日も近いかもしれません。そんな未来がやってきた時、世界は今と比べてどんな風に変わっているのでしょうか。私の予想では、ずっと未来に暮らす人々は、ほとんど老いに悩むことがなくなっていて、大人であること以外は外見上で年齢を判断できないし、認知力の低下や病気という概念もなくなっていることと思います。何歳になっても現役時代と変わらずに人生を歩める。そんな未来を期待しています。
皆さんは、今回の記事を読んで、どのような感想を抱きましたか?
今回は実用化間近の「歯生え薬」についてご紹介しました。
歯の悩みが根絶される未来への希望と、日々人々の幸せのために研究に打ち込む方々への尊敬の念を表して、これにて〆とさせて頂きます。