はじめに

世の中にはいわゆるブランドというものがあります。
ブランドと一口に言っても、飲食店であればマクドナルド、アパレルであればUNIQLO、
遊園地であればディズニーランドなど様々です。
皆さんには好きなブランドがありますか?
そのブランドが好きな理由は、提供される商品や場所の問題だけでは無いと思います。
そのブランドを提供している企業の姿勢、働いているスタッフの人柄や対応にも、
ブランドの魅力を感じていると思います。

私にも好きなブランドがあります。
三陽商会が提供する三陽山長という革靴のブランドです。
三陽山長は「品質本位」を信条としており、質の高い国産メーカーとして私を含む多くの革靴ファンに愛されています。
しかし、私が三陽山長を好きなのは単に革靴の質が良いからだけではありません。
「品質本位」の信条通りに良いものを作り続ける企業の姿勢、丁寧なお店のスタッフの対応、
高級感のある店舗の雰囲気、SNSやオフィシャルブログでブランドの魅力を発信し続ける努力など、
総合的に見て魅力を感じるからです。
そのようなブランドの魅力があるからこそ、何万円というお金を惜しみ無く払って購入しようという気になります。
逆に、いくら良いものを作っていてもスタッフの対応が雑だったり、お店が汚かったりすると
ファンは一気に離れていくでしょう。
それほどまでにブランドの確立に人は重要です。
そして、このように多くの人々から選ばれる法人になるためには
法人「内」でのブランディング、すなわちインナーブランディングが重要になるのです。

インナーブランディングとは何か

ブランディングには外部へ向けてパンフレットやWebサイトを作りブランドの魅力を発信するアウターブランディングと、組織の「内」へ向いてスタッフにブランドを浸透させたり、行動基準を策定するインナーブランディングがあります。
ブランディングと聞くと一般的にはパンフレットやWebサイトを作るアウターブランディングをイメージすると思います。
しかしこれらは表面的なことです。より重要なのはスタッフにブランドの価値を浸透させる
インナーブランディングになります。 なぜなら実際にブランドの価値を体現するのは
他でもないスタッフだからです。

ブランディングで最も重要なのは法人内のブランディング

インナーブランディングの概念

法人には活動の方針となる経営理念(またはミッションやバリュー)があります。
皆さんは今までにご覧になった法人で、経営理念とやっていることが違ったり、
スタッフに浸透していないと感じたことはありませんか?
経営理念とはスタッフが一丸となって目標を目指すのに必要不可欠なものです。
経営理念が形骸化していると目指すべき目標があいまいになります。
目標があいまいになるからサービスの質が低下しますし、そこで働いている意味も感じられなくなります。すると求職者からも利用者からも選ばれにくい、魅力的でない法人になってしまいます。
逆にインナーブランディングを徹底すると、法人やスタッフのあるべき姿が分かり、スタッフのモチベーションが高くなり、ひいてはサービスの質向上につながります。
求職者や利用者からも魅力的に映り、選ばれる法人になります。
そのため、インナーブランディングを行い、法人のブランドの価値を高めていくことが重要なのです。

インナーブランディングの手順

インナーブランディングの手順
インナーブランディングの手順

目標の見直しと設定

法人の経営理念を含む方針、そしてそこに結び付く具体的な目標を見直します。

  • 自分の所属する法人は他の法人と何が違うのか
  • どのような価値を社会にもたらすのか
  • どのような法人でありたいか
  • そのために何を行って何を行わないのか

といった点を考えます。
そして、整理した経営理念や目標を図式化して誰でも分かるようにします。
また、方針や目標だけでなく、評価制度の見直しを図ることも重要です。
スタッフも方針や目標通りに行動することで自分にメリットが生じなければ動きません。
(方針や目標通りの行動ができている人が評価される仕組み作りを行った方がいいです。)
そのため、制度の見直しにあたってはスタッフ目線で考えることも重要です。

スタッフへの浸透

マネージャークラスが繰り返しスタッフに方針や目標を伝える必要があります。
そして自ら率先して行動して見せていくことも重要です。
すると少しずつスタッフにも法人の方針や目標が浸透していきます。

実行とチェック

方針や目標を立てたら継続的に実行していきます。そして方針と目標通りにスタッフが行動できているのか、目標とズレた行動をしていないか、そもそもこの目標でいいのかをチェックします。
インナーブランディングでは方針や目標、そして行動との一貫性が重要になります。
言っていることとやっていることが違う状態ではブランディングになりません。
以上の手順を徹底的に行うことでスタッフに法人のブランド価値が浸透していきます。
スタッフがブランド価値を感じ、目標に向けてモチベーション高く活動する法人は魅力的に見えませんか?
この記事がインナーブランディングを考えるきっかけになれば幸いです。

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